土地の境界?筆界?【土地家屋調査士と測量士】
あまり知られていないのですが、土地家屋調査士の二大業務の一つである土地の筆界を明確にする業務というのがあります。
筆界とは何かというと、登記に記載されている所有権等の権利が及ぶ土地の範囲を決めている境界ということになります。
皆さんは、なんだ、測量か、と思うかもしれませんが、測量自体は土地家屋調査士の主な業務ではありません。こちらは測量士の業務となります。
つまり、地積更正や分筆登記に関係のない測量をするのは測量士の業務になります。
筆界とは関係のない所有者間だけで合意された所有権の境界、や、実際に使っている占有範囲の境界は、測量士等でも決められますが、筆界が関係してくる部分では、土地家屋調査士でしかできないことになっています。
筆界という公共の境界を扱うので、土地家屋調査士には、守秘義務が課され、調査のため、住民票や戸籍等の資料を取付ける権限も与えられています。
不動産の売買や贈与等のように明らかに、登記(表題部、権利部)に基づいて、取引を行うのであれば、それは筆界にかかわり、土地家屋調査士の業務となります。
また、借地権の売買のように土地登記を伴わないような場合は、測量士の測量でも問題ないことになります。
土地家屋調査士が土地測量をするのは、測量した土地が、将来、登記にかかわるかもしれないので、一関連業務としているだけです。
今後は、測量士の作成した境界確認書や測量図を登記申請書に添付しただけでは、登記は受付けられなくなる傾向にあります。
表面的には同じように見えても、土地家屋調査士のする境界の確認は、占有状況、所有者等関係者の主張、そして何よりも各種調査に基づく筆界を念頭においた境界(=筆界)の確認をします。
そのため、所有者の主張する境界(所有権境界)と異なる場合があります。この点が、測量士がする境界確認と大きく異なる点です。
簡単に言えば、土地家屋調査士が調査に基いて導き出した境界に、隣地所有者等関係者の同意を得られない場合でも、分筆登記や地積更正登記等ができる場合があるということです。
これができるかできないかが、土地家屋調査士のする境界確認と測量士のそれとの違いになります。