住宅ローン減税はOKなら新耐震なのか??

少しややこしい話ですが、分かりやすい記事をご紹介します照れ

2022年の税制改正で、住宅ローン減税の見直しが行われました。中古住宅の場合は、これまで「耐火住宅は築25年以内、非耐火住宅は築20年以内」という築後年数要件が定められていたのですが、「1982年1月以降に建築された建物」と大幅に緩和され、制度が利用しやすくなりました。
ただ「1982年1月以降に建築された建物」というのはあくまで住宅ローン減税に限ったことで、他の制度における新耐震・旧耐震の区分が変わった訳ではありません。

■1981年6月以降に建築確認されたものが新耐震
国が定めた新耐震・旧耐震の区分は「1981年6月以降に建築確認された建物が新耐震基準」というものです。それ以前の建物は旧耐震基準となります。
旧耐震基準は既存不適格住宅と位置付けられ、何かしらの耐震対策が必要な建物という扱いになります。
国や自治体が運営する耐震に関する補助制度が旧耐震の建物が対象になっているものが多いのはこのためです。
新耐震基準なら耐震性は大丈夫なのかというとそうでもなく、阪神淡路大震災の教訓を受けて2000年6月に建築基準法が改正されており、2000年5月までの建物は耐震診断を行うと何かしらの改修工事が必要と判定される可能性が高いです。

■制度によっては新耐震基準が対象となるものもあります
新耐震・旧耐震の区分は、制度では建物の安全性を担保する目的で利用されることが多いです。
耐震改修など性能向上リフォームに関する補助であれば、耐震性に問題のある旧耐震の物件が対象で、今の基準に引き上げる工事に対する補助という位置付けになります。
逆のパターンだと、自治体が実施する住宅購入に対する補助制度などがあります。対象地域の物件を購入した方に補助されるというものになりますが、こういった制度の場合、最低限の性能基準をクリアした住宅という意味で、新耐震基準の物件であることが要件にされる場合があります。
全期間固定金利の「フラット35」を利用するにはフラット35適合基準をクリアする必要がありますが、耐震性については新耐震相当という基準が設けられています。

■住宅ローン減税と耐震性は深い関係でした
2022年の改正までは、築後年数要件を超える住宅の場合、現行の耐震基準をクリアすることを証明する「耐震基準適合証明書」が必要だったため、住宅ローン減税制度と耐震性は深い関係で認識されていました。
1981年6月以降の建物でも、耐火住宅は築25年、非耐火住宅は築20年を超える場合は耐震性の確認が必要で、厳しめの基準で運営されてきた経緯があります。
こういった経緯から、住宅の耐震性について詳しい不動産会社が多かったのですが、2022年の住宅ローン減税改正の際に国交省から配布された資料に「新耐震基準相当(1982年1月以降に建築された建物)」という表現が使われていたので、住宅ローン減税がOKなら新耐震基準であると誤って判断してしまう方が多かったりします。

■気を付けるべき年代
国が定めた新耐震基準が1981年6月以降と記載しましたが、これはあくまで建築確認日のことで、建築確認済書など公の文書で証明しなければなりません。
古い住宅になると新築時の文書が失われていることが多く、図面も何もない、あるのは謄本だけという物件は少なくありません。
公の文書で建築確認日が証明できない場合は、謄本の年月日が1983年4月以降の建物が新耐震基準として取り扱われます。

整理すると注意するべき年代は下記になります。

1:1981年6月以降の建築確認だが、1981年12月までに建築された戸建て住宅

国の基準では新耐震ですが、住宅ローン減税の要件を満たさないので、耐震基準適合証明書が必要と判断される可能性があります。
購入を決める前に役所や税務署へ確認を取っておいた方が良い年代です。

2:建築確認日が1981年5月31日以前のマンション

マンションは戸建てと違い、管理組合が新築時の図書を管理しているケースがほとんどです。建築確認から完成まで1年~2年かかるケースもありますので、謄本の年月日が1982年1月~1983年3月までのマンションの場合は、建築確認日を確認してください。
住宅ローン減税はOKですが旧耐震扱いとなる可能性があります。

3:謄本の年月日が1982年1月~1983年3月の戸建て

戸建ての場合も何らかの事情で建築期間が伸びるケースが考えられます。また、他の制度では公の文書で建築確認日が証明できないと、謄本の年月日が1983年4月以降のものが新耐震扱いとなります。
こちらも住宅ローン減税はOKですが旧耐震扱いとなる可能性があります。